死亡したら預貯金はどうなるの? ~口座凍結から解除まで~
- 2012年09月04日
こんにちは。大阪梅田の相続専門税理士、井川真理子です。
今日は皆様からよくいただく質問「死亡したら預貯金はどうなるの?」についてお話させていただきます。
口座名義人が亡くなった事実が金融機関に知られてしまうと、預金口座が一旦凍結され、引き出すことも入金することもできなくなります。
電話代、電気料金などの口座振替も全てできなくなります。
1.金融機関はどうやって死亡の事実を知るの?
市役所に死亡届を出すと、各金融機関に自動的に亡くなった旨の連絡がいくわけではありません。
金融機関は死亡した事実を、家族からの申し出や、新聞の訃報欄などにより把握します。
中には、死亡した事実が金融機関に知られることなく、凍結されないままの口座も結構あります。
2.預金はなぜ凍結されるの?
亡くなった方の預貯金は、お亡くなりになった時点から、相続財産(遺産)となります。
一部の相続人が勝手に預金を引き出して、他の相続人の権利が侵害されるのを防ぐため凍結されます。
銀行も相続争いには巻き込まれたくはありません。
3.凍結を解除するにはどうすればよいの?
<遺言書が無い場合>
相続人全員が話し合い、
「誰が相続するか」もしくは「誰が一旦代表して受け取るか」が決まれば解除することができます。
手続きに必要な主な書類は
・被相続人の、生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・相続人全員の実印が押印された銀行所定の用紙(相続届)
です。
※ 手続きに必要な書類は、各金融機関により異なりますので、必ずご確認ください。
「相続人全員」というところポイントです。
したがって、相続争いが勃発した場合や、相続人の中に行方不明の方がいる場合などは、相続人全員の意見がまとまらないので長期に渡って口座凍結解除することができません。
― 相続税のかかる人は特に要注意!! ―
相続税の申告、納税が必要な場合は、相続の開始があったことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10か月以内に相続税を納める必要があります。
受取った死亡保険金や、相続人固有の預貯金が多額にあり、その中から納税資金を捻出できる場合は問題ないのですが、被相続人の預貯金をあてにしないと支払えないという場合は特に要注意です。
申告期限までに余裕をもって解約できるように、遺言書(下記参照)を作成しておくなど、納税資金を確実に用意できるよう、あらかじめ対策しておきましょう。
<遺言書がある場合>
公正証書遺言書があり、預金を取得する人と遺言執行者が定められている場合には、手続きが非常に簡便になり、基本的には被相続人と遺言執行者関係の書類をそろえれば解約できます。
手続きに必要な主な書類
・遺言書
・遺言者の除籍謄本
・遺言執行者の印鑑証明書
・遺言執行者の実印を押印した払戻依頼書
※ 手続きに必要な書類は、各金融機関により異なりますので、必ずご確認ください。
※ 遺言書がある場合でも、相続人全員の印鑑証明書付きの同意書を要求してくる金融機関も中にはあります。
4.誰が相続するかが決まるまで、預金は一切引き出すことができないの?
お葬式代、入院費相当額の払い出しを応じてもらえるケースもあります。
個別対応となりますので、直接金融機関にご相談ください。
以上、相続をご経験された方であればおわかりになると思いますが、相続手続きは煩わしく、非常に面倒です。
上記でも述べましたが、名義変更を簡単にするという意味でも、公正証書遺言を作成されておくことをおすすめします。
当事務所でもポイントをおさえた公正証書遺言の作成のお手伝いをしております。
実際にお亡くなりになった後、ご家族から「遺言書があったおかげで今回の相続手続きは前回に比べると非常に楽でした。」とご好評いただいております。
作成をご検討されている方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
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